ある親子の会話

2005/12/01 01:08


(吉田康人親子ではありません、念のため)

子「お父さん、建築確認を民間の検査会社に頼むと、いくらぐらいかかるの?」
父「会社によってマチマチだけど、20万円以上するらしいよ」
子「市役所に頼むと?」
父「8万円ほどじゃないかな」
子「市役所のほうが安いんだー。じゃ、みんな、市役所に頼めば得なのにね」
父「いやいや、市役所に頼むと時間がかかるし、ダメと言ったら絶対ダメで融通はきかないし、かと言って、書類を突き返すだけでアドバイスもしてくれないんだよ」
子「そうか!。『いいものは値段が高い』と学校では習ったけど、民間の検査会社のほうが建築確認は早いし、適切にアドバイスもしてくれるし、しっかり検査してくれるし、それでみんな、高いお金を出して民間に頼むんだね」
父「いやいや、それも違うんだよ。施工主にとっては、早いのはもちろんなんだけど、自分の言うことを何でも受け入れてくれて、そして、いい加減な検査でパスしてくれる検査会社のほうが『価値が高い』んだよ。だから、民間のほうが値段が高いんだ。デタラメな検査会社であればあるほど値段が高くなって、真面目な検査会社は仕事も来ないし潰れていくってわけさ。設計会社も全く同じだと思うよ」
子「なるほどぉー。じゃあ、国民の多くがいま思っているように、やっぱり、検査は市役所が責任を負って厳しくやるべきだね」
父「『建築確認は例外的に民から官へ』と確かに言いたいところだけど、現時点ではそれは不可能なんだよ。市役所には、強度計算を自分でできる人とか、検査業務の専門家とか、現場の実務がわかっている人なんか一人もいやしない。大学の先生なんかに委託すればな〜んて話もあるけど、実務に精通している人でないとチェックは無理だね。ゼネコンにはそういうエキスパートはいるけど、貴重な人材を手放すわけないしねー」
子「・・・。じゃあ、どうすりゃいいの?。国会でも議論してるけど、どうなるの?」
父「どうしようもないね。手打ちにするために表向き何らかの措置は講じられるだろうけど、根本的にはどうにもなんないねー」
子「・・・。それにしても、今、住んでいる人達の安全を考えないとね。そして、『危ない物件がもっとあるんじゃないか』とか・・」
父「シッ!。それに触れたら大変だ。ウチのマンションは昭和40年代に造られたものだから、コンクリートも劣化しているだろうし、震度5強にはとても耐えられないんじゃないか?。そんな古い建物や、マンションでもなく古い物件でなくても強度が偽装されている建物なんて、無数にあるんじゃないか?。そこまで使用禁止になっちゃったら暴動が起きちゃうよ」
子「どっかの党の幹事長がそんなこと言ってたなぁ」
父「そうそう、言ってること自体はあながち間違ってはいないと思うよ。ただ、あの人には、ゼネコン業界を守るだけの発想しかない。この問題の本質をわかったうえでの発言じゃなかったはずだよ」
子「本質がわかっていない人が政治家やってても、何にも変わらないね」
父「そこなんだよ。そこがまさに『本質』なんだよ。本質を理解できない人が政治、行政を司っているのがこの日本だ。『ジェネラリストだ』とかもてはやされて、大した専門能力も知識も技術もないのに、偉くなれるのが日本の企業や役所なんだ。そう考えると、図面一つ書いたことない、強度検査もできない人が建築確認をしている実態があったとしても不思議じゃないだろ?」
子「そう言えば、皇室典範改正の有識者会議の座長も、ロボット工学の専門家だったね」
父「我が子よ、オマエはものわかりがいい!。子供なんて作らないロボットの専門家がお世継ぎ問題をリードする、男も女もないロボットの専門家が女系・女子天皇問題をリードする。馬鹿げているとは思わないか?」
子「そんな人に任せていたら、マンションと同じように、日本の文化も伝統も倒壊するね。日本を退去しなきゃいけなんだろうか?」
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