「教育委員会廃止論」

2006/03/22 17:09


 穂坂邦夫著「教育委員会廃止論」を読みました。
 教育委員会制度の複雑怪奇な仕組みを説明するのは大変難しいのですが、穂坂氏は面白い例えを用いています。現行の学校経営形態では本店は国、支店は都道府県教育委員会、営業所は市町村教育委員会、そして、現場事務所が学校というわけです。本店の社長は国の文部科学大臣です。この本店社長(文科相)の意向に基づいて支店(都道府県教育委員会)、営業所(市町村教育委員会)、現場事務所(学校)が営業活動をしているわけですね。そして、現場事務所(学校)の現場監督(校長)や社員(教員)はすべて支店(都道府県教育委員会)から派遣された出向社員です。
 しかし、支店、営業所というのは実は間違った表現で、これらは都道府県と市町村という別会社に所属しているのです。にも関わらず、出資者(都道府県民、市町村民)がいてこの出資者から選ばれる別会社の社長である知事も市町村長も支店(都道府県教育委員会)や営業所(市町村教育委員会)に対して何の権限も責任もありません。社長(知事、市町村長)の役割は何かと言うと支店(都道府県教育委員会)、営業所(市町村教育委員会)、現場事務所(学校)の経費を負担すること、すなわち、施設管理会社社長の役割ですね。営業所(市町村教育委員会)の立場は最も不思議で、人事権がないばかりか営業所(市町村教育委員会)と現場事務所(学校)の経費を本店(国)や支店(都道府県教育委員会)とは別会社の社長(市町村長)にすべて握られているので、必要な経費をもらうにはこの別会社の社長(市町村長)にお願いし
なければなりません。
 結構わかりやすい例えですがこれでもわからないでしょう?。教育委員会制度がそれだけ複雑怪奇だということです(笑)。ただ、「教育委員会廃止論」という割りには著者の穂坂さんは、市長、その前は県議、市議、そして、県・市職員を歴任されただけあって、教育委員会制度への愛着が捨てきれないようです。学校現場への気遣いも強く感じられます。
 穂坂さんによらずとも「教育委員会廃止論」はもはや珍しくなくなりました。「教育行政を自治体の自主性に委ねることにより住民代表である市町村長が住民のニーズに沿った教育施策を展開できるよう、教育委員会を廃止して市町村長の補助機構としての部局に再編化する」などのドラスティックな廃止論も含め、国家レベルでこれから展開される教育委員会制度の行く末に関する議論を首長候補者としてしっかり見据えていきます。
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