続・春木育美さん

2006/09/01 16:54


 2つ前のログでご紹介した春木育美さんから「やすとログ」を見て電子メールを早速いただきました。8月27日(日)付「朝日新聞」に掲載された書評のことも教えていただきました。以下、当該書評を転載します。評者は慶應義塾大学の小林良彰先生です。

<<日本の少子化が社会問題になっているが、それ以上に急速な少子化現象が見られるのが韓国である。同国の統計によれば、60年に6.0であった合計特殊出生率が最近では1.1を下回り、世界最低の数値を示している。
 『現代韓国と女性』は、こうした現状が生じた原因と韓国政府の対応、そして問題点について豊富な資料を基にまとめたものである。同書によれば、まず70年代までの朴正熙大統領下における強力な人口増加抑制政策により出生率が減り始めると、少ない子どもに教育費をかけるようになり、大学進学率が男女ともに8割を超えるようになった。このため大卒がエリートではなくなり、4年制大卒女性の40%しか正規職に就けない厳しい「買い手市場」となる。また、せっかく希望通りの仕事に就いたとしても、いったん職場を離れた女性がホワイトカラー職に戻ることは困難であり、再就職で就く仕事の9割が販売サービス・単純労働職となっている。その結果、出産より現在の仕事の継続を望む女性が増えていることが少子化の一因になっている。
 これに対する政府の施策は産休制度や育児制度であるが、それを遵守(じゅんしゅ)しない職場が多いのが実情である。しかしその一方で、様々に事情は異なるものの、大胆かつ積極的な対応策を即座に実行に移す、日本には見られない政治全体のダイナミズムには学ぶべきものがある。たとえば、大統領制によるトップダウン方式のおかげで、3年前には「両性平等採用目標制」を設けて公務員採用に際して女性にアドバンテージを与えたり、男女共同参画を保証するための制度的枠組みとして選挙に際して一定割合の候補者を女性にする「クオーター制」を導入したりした結果、女性の政官への進出が進んで女性が首相になるなど変化の兆しもみられる。(以下、ほかの本の書評なので省略)>>。
前へ 次へ