謙遜と自尊心

2009/07/01 00:07


【「世に棲む日日」(司馬遼太郎著)シリーズ(7)】

 追手門学院大学で今日も授業。担当は「2009年度 インターンシップ事前学習 <コース・クラス別実践研究>」の「専門職コース 行政・議員クラス」(ながっ)。この夏実施の市役所など政治・行政現場でのインターンへ臨む決意を学生ひとりひとりに発表してもらいました。「追大生として恥ずかしくないようにがんばる」と言ってくれた学生がいました。彼へコメントを返す際に次の一節を引用しました。

<<かれの性格について、仲間たちがみな驚嘆するところは、かれがつねに赤裸々で自分についてすこしの誇張もせず、しかも非常な謙遜家であることであったが、しかし一個人の性格のなかにも人間は矛盾にみちている。謙遜家であると同比重でかれは強烈な自尊心のもちぬしであった。

 この自尊心のつよさが、この若者の身辺をつねに清潔にしていたし、この若者の姿勢と行動を、削ぎ立った竹のようにするどくさせていた。そういう個人としての自尊心のつよさが、かれの民族的自尊心を昂揚させ、その独特の攘夷論をつくりあげるにいたった。>>

 大学での実践的な授業で、しかも、インターンシップについて「吉田松陰」を引用する講師も珍しいわねぇ(笑)。

 「傲慢であることと自尊心を持つこととは違う。自らを尊ぶ、自分自身に恥じない気構えが公平、公正、そして、清廉潔白な資質が求められる公務員には必要。自尊心がなければ不正にも手を染めやすくなる。『追大生として恥ずかしくない』という気持ちを大切にしてインターンをやってきてもらいたい」。大きく頷く学生諸君らが印象的でした。がんばってくださいね。
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